
秋田大学では2025年、学生証のデジタル化を核にキャンパスDXを大きく推し進めました。MyCampusの導入決定からわずか3ヶ月での本稼働という驚異的なスピードとスムーズな導入の背景には、地域全体のDX推進という潮流と現場の工夫、そしてそれを支えたMyCampusの柔軟性とアシアルの伴走力がありました。秋田大学総合学務課教務担当の工藤様に、導入の経緯から現場の変化、そして次世代キャンパスへの展望までお話を伺いました。(2026年6月インタビュー)
デジタル学生証導入以前の課題、発行業務9割削減という衝撃
MyCampus導入以前にあった課題は「物理学生証の発行コスト」
– MyCampus導入以前にあった課題を教えてください
工藤様:学生証の発行業務が大きな課題としてありました。例年、3月から4月は非常に忙しい時期になりますが、その中でも学生証発行業務は特に大きなウエイトを占めていました。以前はバーコード付きの物理学生証を利用しており、新入生は学部と大学院を合わせて1300名分ほどになります。さらに学籍が決定するのは3月31日の17時ですから、入学式までの3、4日という短時間に他業務と並行して確実に対応しなければならず、職員の大きな負担となっていました。また印刷コストやヒューマンエラーへの対応など、費用面の負担も大きなものでした。

– 具体的にどのような流れで発行していたのですか?
工藤様:3月31日17時に学籍情報が決定したら、まずは3時間ほどかけて職員が手分けして学生の氏名を確認します。あいうえお順に並び替えて学籍番号を確定させ、学生証用に提出された印刷物の写真を台紙に貼っていきます。翌朝8時半までには委託業者さんへ入稿する必要があるため、プレッシャーを感じながらの作業が概ね23時くらいまで続きます。業者さんでは1枚30秒ほどかけて印刷を行うためそれでもギリギリなんです。
– 非常に大きな業務、費用負担があったのですね
工藤様:はい。さらに年間100枚程度は、スマートフォンとの接触による磁気不良や紛失が発生します。それらは学内で再発行しており、1枚あたり30分程度の時間と500円程度の費用がかかっていました。
測れないほどの効果、学生証発行業務は9割削減
– MyCampus導入のきっかけは「デジタル学生証」の課題解決だったのですね。
工藤様:はい。「デジタル学生証」が導入検討のきっかけでしたし、一番の決め手でもありました。
– 実際に導入されて発行業務は変わりましたか?
工藤様:その効果には職員皆が本当に驚きました。繁忙期の残業を大幅に削減でき、職員の働き方改革(または『他の重要業務への注力』)に繋がったことに感動しました。物理的な印刷コストの約100万円はもちろん0になりましたが、ただ価格では測れないんです。学生証を発行するという業務でいうと9割は削減されたと思います。再発行業務についても、システム上でワンタッチです。当時は気づきませんでしたがこれも後から振り返るとかなりの業務負担だったと職員と話しています。さらにはヒューマンエラーがなくなって正確性も増しました。
3ヶ月でスムーズに本稼働へ 連携と情報共有、柔軟さが成功の鍵
驚くほどのスピード感で検討から本稼働まで
– わずか3ヶ月での本番スタートとお聞きしました。具体的なスケジュールを教えてください
工藤様:学内の予算が決まり具体的な検討をスタートしたのが2025年9月です。並行して複数のベンダーさんとお話をする中、アシアルさんのMyCampusを選定したのは11月頃、正式なご契約は12月でした。そこから打ち合わせを重ね、2026年3月にはテストデータでリハーサルを行い、全く問題がなく進みました。そして3月末の本番を無事に迎えることができました。これまで大きなトラブルはありません。
– 驚異的なスピード感ですね。何がポイントだったのでしょうか
工藤様:そうですね。アシアルさんでは準備段階から営業担当だけでなくSE(システムエンジニア)が入ってくださっていて、事前に私の方で必要な調査項目を把握することができました。さらに社内の連携が非常に密で、営業担当と相談した内容は即座にSEの担当者から連絡が入るなど非常にスムーズでしたね。
鍵はメンバー間の密な連携とプロジェクト管理方法
– 工藤様とアシアル営業・SEの連携がスムーズだったのですね
工藤様:はい。打ち合わせだけでなく、アシアルさんがプロジェクト管理ツールで本学の関係者に情報を共有してくださったのですが、これが本当に良かったと感じています。通常のようなメールのやりとりですと、私がまずは内容を噛み砕いて各部門へ連絡する必要があります。プロジェクト管理ツールのおかげで、現状の課題やタスクが明瞭で私たちの負担が少なく、非常にスムーズに進みました。
– あらためて導入までの3ヶ月を振り返っていかがですか
工藤様:3月のテストアカウントでのリハーサル・事前動作確認もすんなりでしたし、3月に新入生から収集したデータを使用しての本稼働も順調で、スムーズに導入まで漕ぎ着けました。アシアルさんの迅速な伴走と、本学の教職員の協力体制が噛み合ったからこそだと思います。
MyCampusだから実現、柔軟性とスピード感
– 非常にスムーズですがご苦労された点や工夫された点はありますか?
工藤様:デジタル学生証を導入するにあたって、anet(アネット:秋田大学様の教務システム)との連携、 図書館システム、保健管理センターシステム、証明書発行機システム側でのQRコードへの対応などが必要になります。こういった他ベンダーとの連携では苦労もありましたが、そこもアシアルさんの導入支援のおかげで全てスムーズに進みました。
– ベンダーとの連携が成功のポイントだったのですね
工藤様:大規模に展開するベンダーの場合、他大学への影響から汎用性を重視せざるを得ずに難しいようなことも、アシアルさんは柔軟に迅速に対応してくださいました。限られた期間と予算のなかで、本学にとって最適な機能に絞り込む(ミニマムスタートする)必要がありましたが、そこも事情を汲んで柔軟に対応してくださいました。大変感謝しています。これもアシアルさんならではだと感じています。
利用シーンは学内から学外へ、そして大切な情報も確実に学生へ
図書館、保健管理センター、証明書発行機、学外でもスムーズに活用が進む
– 具体的な利用シーンを教えてください
工藤様:図書館では入口のゲートや貸出機の認証時にデジタル学生証のQRコードを活用しています。図書館担当者から、動作の不良も全くなくスムーズに運用しているという声が届いています。
保健管理センターでは、これまで体調不良等の健康相談時に入口で物理カードを読み取り、来訪理由を手書きしていました。今回、入室時にデジタル学生証のQRコードを読み取るように変更したタイミングで、タッチパネルで事由を入力できるように対応を進めました。
新年度の健康診断でもデジタル学生証を活用するようになり、これまで尿検査のラベルを表計算ソフトから差し込み印刷していたものがQRコードの読み取りへと改善されました。
これらはデジタル学生証の導入によって生まれた良い連携だと感じています。
最後に証明書発行機ですが、こちらもQRコードの読み取りへの置き換えで問題ありません。JR東日本では、定期券購入時の通学証明としてデジタル学生証をそのまま利用することができません。そのため証明書発行機を使い、学生が年度に1回通学証明を発行できるようにして対応しました。


– 学生の皆さんのご様子はいかがですか?
工藤様:スマホの所有については少し心配していたのですが、本学の学生は5200名ほどになりますが、持っていないという問い合わせはありません。万が一スマホを持たない学生がいる場合へのフォロー体制も準備していましたが、結果として非常にスムーズに移行できました。さらに各利用シーンでQRを読み取るというのは学生にとっては当たり前のことのようです。
– とてもスムーズですね。学生の皆さんの学外利用で困ったという声はありませんか?
工藤様:特段、根回しをしたということはないのですが非常にスムーズでしたね。嬉しい誤算としては、市役所から4月に連絡があり、住民票やパスポート申請といった官庁提出書類でデジタル学生証が認められるようになりました。地域社会のDX化の潮流を感じました。
最大の効果は学生に必要な情報を届けられるようになったこと
– 最も効果があったことは何でしょうか?
工藤様:MyCampusのプッシュ通知機能を利用してanet(教務システム)からの案内をアプリに通知できるようになった点です。これまで anet(教務システム) からの案内の既読率は3割程度と低いのが課題でした。特に大事なのが日本学生支援機構など奨学金や授業料免除に関する案内、履修届に関する案内などです。アプリにプッシュ通知を出せるようになって、学生からの「見ていない」という問い合わせが激減しました。この大きな効果に対する声が、奨学金に関連する部門から直接届いていますし、私自身も実感しています。

秋田大学が描く未来/目的を等しくするパートナーとして
次世代キャンパスへ、そして地域社会における秋田大学の役割
– 次のご計画、将来的な展望をお聞かせください
工藤様:教職員からの期待の声を受けて今秋には出欠管理機能を導入したいと考えています。将来的にはanet(教務システム)との連携までめざしたいのですが、本学は教員に出欠判定の裁量があることもありますし、まず最初はミニマムスタートで柔軟に進めたいと考えています。
デジタル学生証をきっかけに利用を始めてみて、MyCampusには実は非常に豊富な機能があるということがわかってきました。例えばアプリのホーム画面に様々なリンク集を置けるというのも非常に効果的で、導入前には見えなかったメリットなんです。まだあるのではないかと大きなポテンシャルを感じています。
教職員の間でも、「せっかく良い方向にDXを進められたのだから、MyCampusの機能を活用してもっとよくしたいね」と期待が高まっています。例えば、LMS側と教務側の履修データの齟齬を感知してアラートを表示するなども検討中です。そして最終的には包括的な大学アプリとして学生が本アプリをインストールさえしていれば困らないところまでもっていきたいという風に考えています。
現在、本県は少子高齢化や急激な人口減少といった、社会構造的課題の最前線にあります。こういった環境だからこそ地域社会においてもDXを推進して課題を解決しなければならないと感じています。高齢者の住民が多い地域ですが、秋田県知事も秋田市長も比較的若く、DXを力強く推進する流れがあります。また本学では2025年に情報データ科学部を開設しました。医療や介護にDXは欠かせませんから、地域社会の中で秋田大学が先進的な役割を果たしていきたいと考えています。
目的を等しくするベンダーを発見することが職員の役割
– 最後に大学DXに悩みを抱える他大学の担当者様へのメッセージをいただけますか?
工藤様:本学に関して言いますと予算やカスタマイズの必要性、さらに非常にタイトなスケジュールでしたし、本学のニーズに柔軟に応えてくれるパートナー(MyCampus)に出会えたからこその成功だと感じています。それぞれの現状にお悩みを抱える大学さんは多数いらっしゃるのではないかと思いますが、もし迷っているならば、一度、MyCampusを検討する価値は十分にあると思います。私がシステム導入の担当として意識してきたことはパートナー選びです。私たちと同じ目的を持ちともに歩める、アシアルさんのようなベンダーさんを発見することが大切です。それが職員の役割ではないでしょうか。
秋田大学 総合学務課教務担当 工藤 岳 氏
秋田大学
秋田市にある県内唯一の国立大学で、国際資源学部、教育文化学部、医学部、総合環境理工学部、情報データ科学部の5学部とそれぞれの研究科を擁し、多様な分野において教育と研究を展開する。国立大学としての設立は、1949年(前身となる秋田県伝習学校は1873年開設)と伝統を誇る。地域と世界を結ぶ知の拠点として未来社会の創造のため貢献している。
https://www.akita-u.ac.jp/
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