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デジタル学生証とは?導入メリットや事例について詳しく解説

デジタル学生証とは?導入メリットや事例について詳しく解説

デジタル学生証は、学生の利便性向上から大学の業務効率化、データ活用までをカバーする重要なツールです。本記事では、その概要から具体的な導入事例、課題と対策、大学DXとの関連性まで徹底解説します。

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「デジタル学生証は聞いたことがあるが、具体的に大学でどのように運用されているのか」「デジタル学生証の導入で大学教職員は、具体的にどんな課題が解決されるのか」…等、気になるポイントを既にデジタル学生証をご導入されている大和大学のご担当者様をお招きして導入背景からご紹介いただきます。

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デジタル学生証とは?その特徴とメリット

デジタル学生証の定義と概要

デジタル学生証とは、従来の身分証明書の機能に加えて、各種申請手続きや決済、入退室管理など、学生生活のさまざまな場面で活用できる電子的な学生証のことです。スマートフォンやウェアラブルデバイスにインストールされ、生体認証や暗号化技術を駆使してセキュリティを確保しながら、利便性の高い学生証として機能します。

デジタル学生証のメリット

デジタル学生証のメリットについて、学生側と大学側に分けてより詳しく説明します。

学生側のメリット

利便性の向上

  • 物理的な学生証を携帯する必要がなくなるため、紛失や破損のリスクが軽減されます。
  • スマートフォンやウェアラブルデバイスで学生証を管理できるので、常に手元に置いておけます。
  • 学内施設の入退室、図書館の利用などのさまざまな場面でスムーズに認証が行えます。

情報へのアクセス向上

  • デジタル学生証と連動したアプリを通じて、時間割や教材、お知らせなどの情報にいつでもアクセスできます。
  • 学生生活に関する情報を一元的に管理できるので、必要な情報を見逃すリスクが減ります。

安全性の向上

  • デジタル学生証には、暗号化やセキュアな認証機能が実装されているため、なりすましや不正利用のリスクが低減されます。
  • 紛失時や卒業時には、遠隔で学生証の無効化が可能です。

大学側のメリット

コスト削減

  • プラスチックカードの発行コストが不要になり、長期的にはコスト削減につながります。
  • カード発行や再発行の手続きにかかわる事務作業を削減できます。

業務効率化

  • 入退室管理や出席管理、各種申請手続きなどをデジタル化することで、関連する事務作業の効率化が図れます。
  • データの自動収集や分析が可能になるため、業務の合理化や意思決定の迅速化が期待できます。

データ活用

  • デジタル学生証の利用履歴から、学生の行動パターンや施設の利用状況などのデータを収集・分析できます。
  • これらのデータを活用することで、施設運営の最適化や学生サービスの改善につなげられます。

以上のように、デジタル学生証は学生と大学の双方にとって多様なメリットがあります。導入することで、学生生活の利便性や安全性が向上するだけでなく、大学運営の効率化とコスト削減、データ活用による戦略的な意思決定も可能になります。今後、デジタル学生証は、大学DXを推進するうえで重要な役割を果たすでしょう。

デジタル学生証導入のポイントと課題

デジタル学生証導入の際に考慮すべきポイント

デジタル学生証をスムーズに導入するには、事前に十分な準備と検討が必要不可欠です。まずは導入目的を明確化し、具体的な課題やニーズを洗い出す必要があります。システム面では、セキュリティ対策と個人情報の厳格な管理が欠かせません。また、学内での受け入れ体制を整え、スムーズな運用を見据えた設計や周知活動を行うことが重要です。

デジタル学生証導入における課題と対策

導入段階では、予算確保や既存システムとの連携が課題となることがあります。運用面では、デジタル化に不安を抱える学生や教職員への対応が必要かもしれません。そのため、関係者を巻き込みながら、丁寧なプロセス管理と周知活動を行うことが求められます。また、デバイスのトラブル対応体制や、不正利用や情報セキュリティリスクへの対策を講じる必要があります。

デジタル学生証の導入事例

大和大学

大和大学では、2023年度から大学公式アプリ「My Yamato」の運用を開始しました。翌2024年度には「My Yamato」にデジタル学生証機能を追加するとともに、プラスチックカード型の学生証の新規発行を停止しました。デジタル学生証には、一定時間ごとに変更されるQRコードを使った仕組みなどによって、なりすましや偽造を防ぐ工夫がされています。

学生は、図書館等の施設への入退館および図書や物品の貸し出し時の本人確認など、従来の学生証で行っていたことはすべてデジタル学生証で行うことができるようになりました。

さらに、教員側のアプリにも出欠確認用の機能を追加し、授業の出席確認や定期試験での本人確認にも活用しています。

また、「My Yamato」は、学生ポータルとしても活用されており、学生は教務システムやLMS、Eメールなどシステムごとに分散していたお知らせ情報をアプリに集約して確認できるようになり、大学や教員からの連絡がなかなか学生に読んでもらえないという問題が解決されています。

学内での学生生活が便利になる一方で、交通機関など定期券発行など一部社外利用においては、デジタル学生証のみでの本人確認が認められていない課題もあります。現状、交通機関の定期券発行については在学証明書の発行等の運用によって課題を回避しています。

今後も「My Yamato」に証明書発行システムとの連携機能など新たな機能追加や学外機関との調整により、学内外での活用範囲を拡大していく計画を持っています。

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慶応義塾大学

慶應義塾大学は、2020年度から「次世代デジタルアイデンティティ基盤」の実証実験に着手しています。実験を進める同大学の研究コンソーシアムであるブロックチェーン・ラボは、デジタル学生証の発行と標準化を目指しています。中核となる取り組みは、ブロックチェーンの分散型台帳技術を活用し、学生証や卒業証明書をデジタル化することです。発行元の大学がなくとも、第三者が永続的に証明書の信頼性を検証できる仕組みを構築する狙いがあります。

デジタル学生証の中核機能として、スマートフォンのウォレットアプリに格納し、生体認証とQRコード読み取りによる本人確認を組み合わせる方式を採用しています。これにより、ログインや申請手続き、各種証明書の発行、学割チケットの購入などにも活用可能になります。

プライバシー保護の観点から、学生IDと成績・履歴情報は分けて管理しています。個人情報は徹底的にコントロールする方針で、「自己主権型ID」の確立を目指しつつ、セキュリティと利便性の両立を図っています。

今後は、デジタル学生証を足がかりに就職活動での活用をはじめ、社会生活全般への展開が見込まれています。「学習履歴社会」への対応として、単位修得証明などの新サービスにも着手する計画も発表しています。

東洋大学

東洋大学では、デジタル化推進の一環として、2021年に「TOYO-PASS」という学内専用のデジタル学生証を導入しました。「TOYO-PASS」は大学の公式スマートフォンアプリに実装された機能で、暗号化された二次元バーコードを表示して本人確認ができるしくみです。秒単位で変化するバーコードにより、なりすましリスクを低減する工夫がされています。教職員側のアプリにも読み取り機能を搭載し、専用の読み取り機器を準備する必要をなくす取り組みも行っています。

実証実験では、図書館の入退館や各種申請の際、従来の学生証に代わる本人確認ツールとして運用を開始しました。次に、学内イベントの入場時のチェックインへの適用を進めました。

また、「TOYO-PASS」は学内イベントでの体験共有の場にも活用されています。入学式ではスムーズな本人確認に加え、新入生の思いを収集しました。大学スポーツの観戦にも応用され、応援コメントの収集などを通じて大学文化の醸成にも貢献しています。 

こうした取り組みを通じて、従来はバラバラだった学生データを一元的に収集・共有できるようになりました。2023年度には「データ利活用特区」を設置し、就職支援や留学関連部署が中心となり、データ活用が加速されました。 今後は、定期試験での本人確認対応や、学外での学生証利用にも活用を広げる計画を発表しています。

琉球大学

琉球大学は、現在取り組んでいるRX推進プロジェクトの一環としてデジタル学生証を導入しました。2024年度に入学した新1年生を対象に試験的に運用が開始され、来年度以降はすべての学生が対象になる予定です。

デジタル学生証は、琉球大学が提供するスマートフォンアプリに搭載されており、学生自身が所有するスマートフォンで提示することができます。

デジタル学生証の導入により、卒業や休学・退学時の使用停止やカード発行が不要になるため、将来的には事務職の負担減が期待できます。琉球大学の新入学生は毎年約1,800人おり、これまでは前期・後期合わせて3月の数日間で学生証の発行作業を行っていました。デジタル学生証の導入により、この作業が大幅に効率化されることが見込まれています。また、スクリーンショットを撮ることができないようにQRコードの表示を工夫するなど、個人情報の保護に細心の注意が払われています。

将来的には、安否確認や大学からの通知管理、学内施設の利用でもデジタル学生証が活用される予定です。学生生活のさまざまな場面でデジタル学生証が活用できることで、利便性のさらなる向上が期待されます。

まとめ

デジタル学生証は、大学の多くの場面でDXを後押しする重要な起爆剤となります。学内手続きのデジタル化はもちろん、キャンパスライフのさまざまな場面でデータの利活用を進めることで、合理化や最適化を実現できます。デジタル学生証を核として、教育現場のDX、業務効率化、データドリブンな施設運営など、大学の機能全般にわたるDXを推進することが可能でしょう。

アシアルは、高い技術力と最先端テクノロジーへの素早い対応を強みとし、デジタル学生証をはじめとする大学DXの実現に向けたソリューションを提供しています。アシアルのポータルアプリソリューション「My Campus」は、アプリでのデジタル学生証を実現できます。また、既存システムとの柔軟な連携や、使いやすさを追求したUIデザインにより、学生生活の利便性を向上につながります。デジタル学生証やポータルアプリを活用した大学DX推進に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

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