実績

OUR WORKS

腸の音から腸活を提案するヘルスケアアプリ開発

サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社 様
  • システム構築・アプリ開発
  • AIシステム開発・R&D
  • UX/UIデザイン
WORK #32 eyecatch

サントリーグローバルイノベーションセンター様は、サントリーグループの基盤技術研究を担う会社として2013年に設立されました。情熱をもってサイエンスとテクノロジーを追求し、人と自然を深く理解し、「美味しさと健康」の新たな価値の提供を通じて人と地球に寄り添い、新たなウエルネス体験を生み出していきたいとお考えになられています。

本プロジェクトでは、サントリーグローバルイノベーションセンター様が研究・開発された腸音を解析するAIをもとに、スマホで録音した腸の音から腸活を提案するこれまでにない腸活アプリを実装するために、アシアルでは、アプリのUI・UXの設計からアプリ・API・管理画面の設計・開発・保守まで包括的にご支援いたしました。

目的・背景

サントリーのグループ内で基盤研究を担うサントリーグローバルイノベーションセンター。これまでは食品に含まれる素材の機能性の研究を飲料商品の開発に活かしていくことが主体とされていました。それに加えて近年、健康領域において、お客様からいただいたデータをもとに研究するDXの推進と、それらとセンシング技術とを組み合わせて新たな研究を進めていこうという目標が立てられました。

健康領域の中でも、世の中で悩んでいる人が多い「腸」に注目。検討を進める中で「腸の音」に着目するというアイディアと、さらにデータを得る手段としてスマホを使うことが面白いのではないかという見解が出てきました。AIの開発もできそうという感触が得られていたこともあり、研究をするためのセンシング技術を実装するアプリ開発を進めることになりました。

アシアルでは、腸の状態・対策と効果・悪化/改善傾向・腸活の頑張り具合などの「わからない」を見える化することで「わかる」ようにするアプリというコンセプトを作り、それと並行してカラースキームなどアプリのベースとなるデザインについて定義を行いました。

インタビュー

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お話しいただいた方

サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社
研究部
金川 典正 様

アシアル株式会社
鴨田(UX/UI担当)
津田(開発担当)

ご依頼のきっかけ

アプリを開発するきっかけを教えてください。

金川様
サントリーは飲料やお酒をつくっているというイメージが強いと思いますが、我々のいる部門は基盤研究をやっていくというのがミッションです。センシング技術と研究を組み合わせていくためにデータを得る手段を何とかして探したいというのが最初にあったきっかけです。

このアプリ開発では、マイクで音を録って解析するAIを弊社で作っていたのですが、それをしっかりと実装し、且つデータをユーザーに見える化してスコアリングするなど、複雑な開発が必要なアプリになると思っていました。

腸の音を録るのと学習モデルを入れるのは、このアプリ開発として絶対に必要な要件ですので、それを実現できる開発会社を検討していた時に、タニタ様のヘルスプラネットのアプリ開発をアシアルさんがされていたのを思い出しました。

私もアプリ使っていたのですがデータ管理や具体的にユーザーにどうフィードバックするかも拝見していて、弊社のイメージにも非常に近かったので、あのアプリを手がけている開発会社であれば大丈夫という安心感の中でお願いをしました。

鴨田
アプリの全体像を決めていくために、コンセプトシート作りをする上でターゲットユーザーやどういった目的でこのアプリを使うのか、どのように広めていきたいのかというご意見をサントリーさんにも伺いながら一緒に決めることができました。UX/UIに関しては綿密な打ち合わせと、細かい調整を行いながら作っていけたので、そういった点は非常に良かったです。

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基礎研究に必要なデータが取得できると期待

プロジェクトの進み方

開発する中でご苦労された部分や思い入れのあることはありますか?

金川様
このプロジェクトはコロナ禍でスタートしているので、ほぼ全てリモートで行いました。鴨田さんとはアプリがある程度開発できた後に実施したユーザーテストで初めてリアルでお会いでき、津田さんとお会いできたのではリリース直前でした。直接は1回しかお会いしていないのですが、凄くキーになる所でお会いできたのが印象に残っています。

デザインは、開発前に想定していたものより良いものが作れたと感じています。私はデザインに造詣が深くないので、ほぼイメージがない中でお願いをしました。その中で素晴らしいデザインができ、イラストも非常に評判が良かったです。特に女性向けでかわいいというお声もいただいています。今年の1月にラスベガスで開催されたCESに出展して「CES 2023 Innovation Awards」を受賞できたのも、デザイン面を評価していただいた部分もあったと聞いています。

鴨田
そうですね、このプロジェクトに関しては納得いくまでデザインを練り直しました。特徴的だったのは弊社とサントリーさん以外に、商品企画をされている方からUXだったりUIに関するアドバイスを色々といただいていたので、そういったものも凄く新鮮な感じで取り組めました。今回のプロジェクトはユーザーテストも行ってリリース前に様々な改良をできたので、今のリリース時点でも相当良いUX/UIができていると考えています。

金川様
システム面では管理画面を作っていただき、さらなる研究に活用できたことは依頼した時点では想定していなかったことです。当初は管理画面については具体的に考えておらず、どんな機能があったら良いのかも分からないまま、アシアルさんからアドバイスをいただきました。作っていく過程で要望が変わる中でも、柔軟に対応いただいたのは凄くありがたかったです。その管理画面があるからこそ、今は弊社と色々なパートナーがやりとりできていて、パートナーの方々からも大変喜ばれています。

津田
アプリの開発ではReactNative使っているのですが、腸の音を録るためにはOSSのプラグインをそのまま使おうとしても思い通りにできない部分もあります。スクラッチで自分でプラグインを書いたり、腸音測定もAIをどのようにシステムに組み入れると良いのか試行錯誤したりということはありました。そういった難しさというか、一筋縄では行かないところはありましたね。技術的な部分はアシアルで解決しつつ、サントリーさんしか分からないようなアルゴリズム周りは本当に綿密に資料を作成していただいたので助かりました。

リリース後の反響

完成したWebサイトの品質や、公開後の反響はいかがですか?

金川様
腸noteのようなアプリが世の中に無いので、このアプリ自体が非常に印象的だと言われます。そこで興味を持っていただけた後はアプリのデザインや、使いやすい機能などを色々な方からご評価いただいています。特に音を測定してスコアになるという体験は、新しさという点で大変反響があり、色々な企業の方からも使ってみたいというお声をたくさんいただいています。

鴨田
アシアルは大きなプロジェクトや開発を行うことはあるものの、名前を出せない時も多いので、今回このような形で事例を出させていただけるのは嬉しいですね。

津田
私も胸を張って話せるアプリ開発ができたというのが嬉しいですし、Twitterの反応はちょこちょこ自分でも見ていて楽しみに使ってくれている人がいるのは凄く嬉しいです。

金川様
こちらこそ、アシアルさんと一緒に開発したことをもっと言いたいと思っています。というのも、私たちはアプリを作った経験がなかったので、色々な方からどうやって作ったのかと聞かれることが多いです。今回のような特殊な機能を実装してくれるアシアルさんと一緒に開発できたということは、もっともっと色々な所で伝えていきたいという思いがありますね。

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リリース後の反響に開発側も安堵

今後の展望

今後の展望やアシアルに期待することはありますか?

金川様
我々は研究者なので研究目的でこのアプリを使うことが多く、そのような面ではしっかり開発されている一方で、一般のユーザーさんに使い続けてもらうには体験設計など足りない部分がたくさんあると思っています。まずは、アシアルさんと継続してそこをしっかり開発していきたいと思っています。

そのうえで、このアプリをもっと広めていきたいというのがセカンドステップです。ユーザーのみなさんに使い続けてもらえるようになったら、プロモーションをしてさらに多くの方に使っていただいて、お客様の健康課題をしっかり解決していきたいというところが次のステップとしてあります。

その先のステップとしてはやはり最初に戻るのですが、ユーザーさんから集めたビッグデータを解析してさらに新しい研究を進めていきたいと思っています。腸の音をここまでたくさん集めた人は世界でまだいないので、色々な方から冗談で「こんなに腸の音を持っている人はいないからイグノーベル賞でも狙いなよ」って言われます。それはあくまで冗談とはいえ、研究としてしっかり成果を出していくというのをさらに先のステップとして考えていきたいなと思っております。

鴨田
今のお話しの中でも、コンシューマー向けのUX/UIで改善していくポイントも出ていましたけど、あとはこのアプリを中心として他のアプリと連携するお話もありますので、引き続きご助力させていただければと思います。

金川様
腸noteは特殊なアプリなので、おそらく今後は私たちが想定していないトラブルが出てくるのではないかと考えています。これから多くの人にこのアプリを活用してもらう中で、色々なことが起きると思うのですが、その時に弊社だけではどのように対処したらいいのか分からないことが数多く出てくると思います。そのような時にアシアルさんに的確なご意見をたくさんいただけるとありがたいなと思っています。

津田
リリース後の今も、あれやろうこれやろうとお話しさせていただきながら進めさせていただいている所なので、引き続きよろしくお願いしますというのと、アシアルからのご提案もしていけたりしたらいいかなと思っております。

※インタビュー実施:2023年3月

開発したアプリの紹介

腸noteはスマホで録音した腸の音から、腸の状態を判定し、腸活を提案するこれまでにない腸活アプリです。腸noteで、腸の音やお通じ、腸活を記録することで一人一人にあった腸活を知って、腸にやさしい生活習慣を目指せます。

アシアルでは以下の点をポイントとして開発しました。

「腸」「お通じ」のアプリであることが伝わるようなデザイン
「汚いもの」というイメージが前面に出ないようにしつつ、どのようなアプリなのか伝わりやすいデザインに落とし込むためにサンプルの作成・ブラッシュアップを通じてイメージのすり合わせを行いました。腸音というエビデンスのある測定アプリであるものの、親しみやすさも重要であるため、そのデザインバランスの調整にはとても気を遣いました。また、モックアップの作成を通じて、ユーザーテストを行うことで、細部の使い勝手にもこだわってUX向上を行っています。

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研究用に作成されたAIモデル・ソースコードのウェブアプリケーション化
腸音を解析する機能はローカル環境で動作するように設計・実装されていたものでした。今後の研究成果を取り入れつつアプリから利用できるようにすることを両立できるように、ローカルでもサーバーでも実行できるように調整してシステムに取り込みました。

研究を進めるための継続的な支援
一般公開可能なアプリとして初期開発完了した後、しばらくの間は研究のための調査を行うアプリとして利用するためTestFlightでのみ配信していました。アプリのデプロイはもちろん、アプリの配信方法についてご提案したり、調査ごとにアプリの微調整(文言変更や機能制限など)や、調査主体が異なるためデータが混ざらないようにバックエンドの環境を追加で構築するなど、多面的なご支援を行いました。

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